2015年12月2日水曜日

「健康」とは何か?

それではこのブログ記事第一弾。
「健康」とは一体何なのか、を考えていきます。

あなたは今、健康ですか?

健康であること。それが一番ですよね。お金があっても、仕事があっても、健康じゃなければ楽しいことも楽しめません。
…この世じゃ健康維持のためにお金がかかるというのは、また別のお話。

では、健康とは何なのでしょうか。

何処も痛くないこと? 五体満足であること? 精神を病んでいないこと?

なんだか道徳の授業みたいな質問ですね。そういえば昔、小学校の授業でそんなことを話し合った記憶があります。

重い持病を持っていても、脚が一本なくても、心が健康なら病気じゃないのか。
五体満足であっても、精神的に追い詰められていたら健康じゃないのか。
普段は元気いっぱいだけれど、今日はたまたま悩み事を抱えてしまって憂鬱になっているときは、どういう状態なのか。これは病気なんだろうか。

こう考えていくと、健康であること、そして病気であることの定義が欲しくなりますね。
世界保健機関・WHOは、憲章の中で「健康」を以下のように定義しています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.” (WHO Definition of Health)

自分用メモ: ドイツ語訳では"Gesundheit ist der Zustand völligen körperlichen, geistigen, seelischen und sozialen Wohlbefindens."

1948年から変更されていない定義だそうです。

日本語に訳すと、「健康とは、身体的、精神的、そして社会的に完全に良い状態であり、単なる病気や病弱の存在しないことではない」 ということですね。WHO日本のサイトを見ると、もっと大仰な書き方をされています。

ただ、この定義をそのまま適用すると、この世の中の誰も健康ではないような気がしてしまいますね。いつもは元気な人でも、ちょっと風邪を引いたり、うっかり切り傷を作ってしまったり、なんてことは日常茶飯事です。何より、私たちの体の免疫システムが休みなく外からの病原体の攻撃と戦っている限り、誰もが常に「少しだけ病気」な状態にあるわけです。四六時中自己と非自己が入り混じっている状態は、WHOがいう「完全な状態」ではない訳ですからね。
(自己と非自己―免疫学のお話は、また別の記事でしようと思います。)

ここで浮かび上がる疑問が一つ。健康と病気は、果たして二極性のものなのでしょうか。 つまり、人は健康か病気か、どちらかの状態にしかなりえないのでしょうか?
先ほど「少しだけ病気」と書きましたが、みなさんだって挨拶がてらに「元気?」と聞かれて「うん、元気」と答えても、実際は「実は昨晩からちょっと頭が痛い」だったり、「今朝指を切っちゃったけど血は止まったよ」な状態だったりと、「日常的な活動はできる範囲内で体が健康じゃない」場合ってありますよね? これくらいの状態なら、自分を病気ととらえない方も多いでしょう。
また、風邪をひいて高熱を出して寝込んでいるときも、山を越えて「今日は昨日より熱も下がったし、だるさも減ったな」という場合は、病気でありながらも「少しだけ健康に近づいた」と思えるでしょう。

お分かりのように、健康と病気の状態は、単なる二分法(独Dichotom、英dichotomy)で分けられるものではありません。性別を男と女の二つに分けるようにはいかないのです。(…っと、これもここ数年ホットな議論が交わされているテーマですが、これもまた別のお話。)
そうではなく、「健康」と「病気」は、多岐にわたる状態の両極端でしかないのです。(独Poltyom、英polytomy)
そして、今日のあなたの状態は、この二つの間のどこかにあり、「どちら寄りか」で説明するしかないわけですが。うーん、一筋縄じゃ行きませんね。

しかし、両極端ということであれば、どちらかを定義すればもう一方の定義は簡単ですね。
というわけで、より普遍的に通用する「健康」の概念を自分なりに定義しちゃおうと思います。

健康」とは、「身体的にも精神的にも、そして社会的にも、(当面の間)自分が満足できる状態」。

詳しく言うと、自分の身体的、精神的、社会的活動に障壁がない状態ですかね。
(独Gesundheit = das Fehlen von körperlicher und seelischer Störungen.)

健康というと、どうも自分の体と精神のことだけを考えがちですが、この社会で生きていくには社会的な面の健全さと満足度も重要なんですね。個人からの観点でももちろんそうなんですが、もっと言っちゃうと、この社会の一部となって働き、社会に貢献できるかどうかが重要なようで。これは生命・社会保険の観点ですね。


そして、「病気」の状態とは、 「身体的、精神的、社会的な普通値からの乖離」です。または、もっとも単純に言えば、「健康でない状態」。これで定義完了です。あらシンプル。



ふう。普段から使っている言葉なのに、「健康ってどういうこと?」って聞かれるとなかなかぱっと説明しにくいですね。
要するに、身体的にも精神的にも社会的にも、当面の間自分が満足できる状態であれば、健康と言っていいのではないでしょうか。どの面においても完璧な人間などというものは、この世に存在しないのですから。上々の気分で、世界を自分の限度なりに存分に活動し楽しむことができるのなら、それが健康であるということじゃないでしょうか。


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長くなってしまいましたが、この辺で健康議論を終わります。正直自分でも何かいてるのかぐちゃぐちゃになってる気がするので、また加筆修正するかもしれません。
ご意見ありましたら何なりとどうぞ。


参考資料
WHO Definition of Health
日本保健機構 健康
Medizinische Pszchologie/Medizinische Soziologie - Erich Kasten, Bernhard A. Sabel 17. Auflage

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